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きよしこの夜の歌詞・英語、カタカナ、日本語と原語と和訳と比較 [クリスマスソング]

きよしこの夜、今では中学生以上なら学校で英語で習うそうですね。
遠い昔わたしは高校で英語で習いました。

すっかり英語の歌かと思っていましたが、原語はドイツ語。
「Stille Nacht, heilige Nacht」(シュティレ ナハト、ハーィリゲ ナハト)というタイトルで、1818年のクリスマスイブに教会で初演されたそうです。

きよしこの夜は、正真正銘の讃美歌でした。

歌詞は、何を歌っているのでしょう。


きよしこの夜のはじまり

きよしこの夜が初めて演奏されたのは、オーストリア・ザルツブルク州オーベルンドルフの聖ニコラウス教会。
ドイツとの国境の街です。
1818年当時はオーストリア帝国の村でした。

作詞者ヨゼフ・モールは、聖ニコラウス教会赴任2年目の若き神父でした。
モールは、貧しい生まれでしたが、音楽の才能を認められ子供のころはザルツブルグ大聖堂の合唱隊を務めていました。その後音楽学校で学び、のちに神学校へ進み聖職者となりました。

きよしこの夜の詩は、1816年に当時の赴任地ザルツブルグ州マリアプファルで書かれました。6段落からなる詩でした。

1817年10月、モールはオーベルンドルフの聖ニコラウス教会へ赴任しました。

1818年12月24日、モール氏は、近くの村の教師で聖ニコラウス教会の副オルガン奏者であったフランツ・クサーヴァー・グルーバー氏に急遽この詩への作曲を依頼。
グルーバー氏は依頼通り、ギターの伴奏付きのソロ2声と合唱のための楽譜を書き上げ、その日の真夜中12時のミサで演奏されました。

テナーをモール氏が、バスをグルーガー氏が、合唱隊はリフレインを歌ったそうです。モール氏はギターパートも担当しました。
演奏は教会に集まった人々に大変好評だったそうです。

また、現在のゆーっくりな歌い方と少し違っていて、ダンス曲のように快活に歌ったそうです。

1818年のオリジナル楽譜は消失していますが、1820年ごろにモール氏によってかかれたという楽譜が、1995年に発見されています。
1816.jpg
出典:silent-night-museum.org/

モール氏は、オルガン奏者にギター譜を依頼したわけですが、というのも当時の教会はナポレオン戦争のあとで貧しく、オルガンは調律もされてなくて使い物にならなかったと、グルーバー氏の息子が語っています。
(よく言われているオルガンがネズミに齧られたという逸話はフィクションだそうです。)

ドイツ語版の歌のタイトルは、歌詞の最初の部分と同じ、
Stille Nacht, heilige Nacht
です。

英語の歌詞の翻訳は300以上あるとされています。バージョンで、最も古いものと現在確認されているのは、1849年アメリカのワーナー氏(J. F. Warner)によるもの。

タイトルは、「Silent Night! Hallowed Night」でした。

1858年のイギリス・エリオット女史 (Emily Elizabeth Steele Elliott)による英訳は、「Stilly Night, Holy Night」でした。

今日も一般に歌われている英語バージョンの歌詞は、1859年、のちにニューヨーク・トリニティー教会の司祭となるエピスコパル教会ジョン・フリーマン・ヤング氏(John Freeman Young)が英語訳したものです。
タイトルは、「Silent Night! Holy Night!」でした。

今では、「Silent night」だけになっています。

他に、キャンベル女史(Jane Montgomery Campbell)による「Holy Night, Peaceful Night 」もよく知られています。

きよしこの夜Stille Nacht, heilige Nachtは現在、140以上のことばに翻訳されて世界中で歌われています。


きよしこの夜の歌詞 

英語とと日本語と原語のドイツ語の歌詞の意味を自己流日本語訳で比べてみたいと思います。

現在きよしこの夜は英語、日本語では3番までが比較的よく知られていますが、いちばん馴染みがあ

る、1番の歌詞で比べてみます。



英語・ヤング版

Silent night! Holy night!
All is calm, all is bright,
Round yon Virgin Mother and Child!
Holy Infant, so tender and mild,
Sleep in heavenly peace!
Sleep in heavenly peace!


カタカナ読み

サイレントナイト ホーリーナイト
オールイズカーム オールイズブライト
ラウンドヨンバージン マーザアンドチャイルド
ホーリー イーンファント ソー テンダーアンドマイルド
スリーピン ヘーヴンリーピース
スリーピン ヘーヴンリーピース


英語歌詞の日本語訳

静かな夜、聖なる夜
処女なる母子のまわりは
すべてが静まり返って澄んでいる
とてもやさしく穏やかな聖なる幼子は
神々しく平和に眠っている
神々しく平和に眠っている



日本語歌詞 由木康・昭和29年版

きよしこの夜 星は光り
救いの御子は まぶねの中に
眠りたもう いとやすく



ドイツ語(原語)

Stille Nacht, heilige Nacht,
Alles schläft, einsam wacht
Nur das traute, hochheilige Paar,
Holder Knabe im lockigen Haar
Schlaf in himmlischer Ruh!
Schlaf in himmlischer Ruh!


ドイツ語歌詞の日本語訳

静かな夜、聖なる夜
すべての者が眠っている
起きているのは
睦まじい聖夫婦だけ
愛らしい巻き毛の子よ
神聖な安らぎに眠れ
神聖な安らぎに眠れ


現在一般的に歌われている、由木康氏版の歌詞は昭和29年のもので、少し違う同じ由木氏による昭和2年版の歌詞もあります。

由木氏はプロテスタントの牧師さんだそうで、カトリック教会では、「しずけき」または「しずけきまよなか」という題で訳詞も違っています。こちらも何通りかあるようです。


さて、いかがでしょう。
夜に、イエスキリストが生まれて、すやすや眠っている、というのはすべて同じですね。

ドイツ語の歌詞では、「巻き毛」という描写が出てきます。

日本語版では親が出てきませんが、「まぶね」漢字で「馬糟」という言葉が出てきます。
馬小屋で生まれておけをベッドにしたというエピソードからきています。

同じ由木康氏の訳で昭和2年版では、「まぶねの中に」の部分が「み母の胸に」となっていて、母が出てきます。

それから由木版では「静か」という言葉がでてきません。

英語もドイツ語も「静かな」で始まっているのですが、これは特徴的です。

そういえばギモンに思ったことなかったなー。



英語の歌詞のつづきとカタカナと和訳

では続きの2番からです。

2
Silent night! Holy night!
Shepherds quake at the sight!
Glories stream from Heaven afar,
Heavenly Hosts sing Alleluia!
Christ, the Saviour, is born!
Christ, the Saviour, is born!

サイレントナイト ホーリーナイト
シェパーズクエイク アットザサイト
グローリーズ ストリームフロム ヘヴナファー
ヘヴンリー ホスツ シング アレルヤー
クライストザセーヴィア イズボーン
クライストザセーヴィア イズボーン

静かな夜 聖なる夜
羊飼いたちがその光景を見ておののいている
栄光がはるかな天から降り注いでいる
天軍が絶賛の歌を歌っている
救世主キリストが生まれた
救世主キリストが生まれた

3
Silent night! Holy night!
Son of God, love’s pure light
Radiant beams from Thy Holy Face
With the dawn of redeeming grace,
Jesus, Lord, at Thy Birth!
Jesus, Lord, at Thy Birth!

サイレントナイト ホーリーナイト
ソノブゴッド ラヴズピュアライト
レディアントビームス フロム ザイホリーフェイス
ウィズザ ドーンオブ リディーミング グレイス
ジーザス ロード アッザイ バース
ジーザス ロード アッザイ バース

静かな夜 聖なる夜
神の御子、愛の清き光
あなたの御顔から輝く光が放たれ
救いの恵みの夜が明ける
主よ イエスの誕生で
主よ イエスの誕生で
--

練習にはこちらの動画が歌詞がはっきり読めてよいかなと思いました。



ヤング氏の訳は3番までです。
英語ではたいてい、この3番まで歌われます。
2番と3番の順番が逆に歌われることもあります。

ヤング氏の訳は現在公有となっています。

4番以降はヤング氏以外の訳はいろいろあります。

それから、4番の歌詞に、作者不明の以下のものが讃美歌集に載っていることがあります。

Silent night, holy night,
wondrous star, lend thy light;
with the angels let us sing,
Alleluia to our King;
Christ the Savior is born,
Christ the Savior is born!

サイレントナイト ホーリーナイト
ワンダラススター レンドザイライト
ウィズズィ エンジェルス レッタスシング
アレルヤ トゥー アワーキング
クライストザセーヴィア イズボーン
クライストザセーヴィア イズボーン

静かな夜 聖なる夜
不思議な星 あなたの光を添える
天使が歌えという
わたしたちの王へアレルヤを
キリスト、救世主の誕生だ
キリスト、救世主の誕生だ
--


端的に言って「きよしこの夜」は、まさにクリスマスの歌ですね。
イエスキリストが生まれたことを大絶賛する歌、といえるでしょう。

すこし描写や内容が違ったとしても、言語のドイツ語でもその根本内容は全く同じです。
ドイツ語の歌詞や意味についてはこちらがわかりやすかったです。

ドイツ語と英語の歌詞の比較は、こちら



きよしこの夜 日本語

では最後に現在カラオケなどを含め最も歌われている由木康氏による日本語の歌詞をご紹介しましょう。
日本語版も本などではたいてい、3番までがでていますね。

由木氏の歌詞は5番までみつけることができました。
もしかすると6番まであるのかもしれませんが、わたしは6番をみつけることはできませんでした。。。

昭和2年の古いほうのバージョンでは、タイトルが「聖歌」でした。


きよしこの夜

由木康 昭和29年版

1
きよしこの夜 星は光り
救いの御子は まぶねの中に
眠りたもう いとやすく

2
きよしこの夜 御告げ受けし
牧人たちは 御子のみ前に
ぬかずきぬ かしこみて

3
きよしこの夜 御子の笑みに
恵みの御世の 明日の光
輝けり ほがらかに

4
きよしこの夜 清き御顔
常世の光 暗気を照らす
神の御子は 今生まれる

5
きよしこの夜 光照りて
御使い達は 御子をたたえる
歌えハレルヤ われらが王に
われらが王に


聖歌

由木康 昭和2年版 きよしこの夜

1
きよしこの夜 星はひかり
救いの御子は み母の胸に
眠りたもう 夢やすく

2
きよしこの夜 み告げ受けし
羊飼いらは 御子のみ前に
ぬかずきぬ かしこみて

3
きよしこの夜 御子の笑みに
恵みのみよの あしたの光
輝ける ほがらかに

4
きよしこの夜 清き御顔
御使いたちは 暗気を照らし 
神の御子は 今生まれん

5
きよしこの夜 御つかいたちは
御子をたたえん 歌えハレルヤ
われらが 王に
われらが 王に

やはり、キリストの誕生を大絶賛しているうたであることは間違いないですね。

まとめ

きよしこの夜は、1818年にオーストリア帝国内の教会で発表されたクリスマスのためのキリスト誕生大絶賛の歌である。

まさにクリスマスの歌だったんですね。きよしこの夜それにしても、訳がいろいろたくさんあるとは驚きました。

そのなかから、定番になっていく歌詞があるって不思議ですね。

参考:
hymnsandcarolsofchristmas.com
stillenacht.at
silentnight.web.za

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